M-Tracerによるデータで見るスライスのタイプと原因

M-Tracerによるデータで見るスライスのタイプと原因

こんな方向けの記事です

  • スライスに悩む
  • ゴルフの飛距離が伸びない
  • ゴルフの上達をしたい


M-Tracerのデータをうまく活用して、効率的に上達しよう

ゴルフをされる方は、自分のスイングのタイプをよく理解されていますか?

世の中でよく知られているスイングに関する指標としては、ヘッドスピードとか、飛距離だとか、最近だとスピン量などが知られているかと思います。

それらを本格的に知ろうとすると、ゴルフショップに行くか、練習場に設置されているサービスを利用するかなどそこそこハードルがありますね。
最近では本格的な弾道計測器から、手軽にスイングをチェックできるガジェットなど様々な機器が発売されています。

自分に何があっているかは、もしかしたら、TPO(もう死語でしょうか)に合わせる必要があるかもしれません。

「遠くへ飛ばしたい!」「狙ったところに飛ばしたい!」など、ゴルフを少しでもうまくなりたいと思っているゴルファーは多いと思いますが、やみくもにボールを打つ練習は非常に効率が悪いものです。
毎日の仕事の合間になかなか練習場にも行けるものではないので、やっぱり効率的にうまくなりたいですね。科学的アプローチをうまく取り入れ、自分を知って、対策を考えるのは近道のひとつです。


M-Tracerは、ゴルフスイングを分析し「うまくなる」をサポートするサービスを2014年から行っています。これまでに、サーバーには7万人以上のユーザのデータが3,000万スイング以上蓄積されており、これらのデータを分析すると、世の中の傾向が見えてきます。

そしてそれと自分の傾向を照らし合わせたときに、もっとゴルフにうまく向き合えるのではないでしょうか。


スライスのタイプは3つ

スライサー(ボールが右に曲がる)の方は、7割いる一般的に言われているようです。実際はどうなのでしょうか。蓄積された3,000万データを分析すると、スライサーの方は、47.8%と、5割を切るぐらいの方が該当するという結果が出ています。


以外に少ないことが分かります。M-Tracerを利用されているお客様の平均スコアは、95ぐらいですので、もしかしたら、スコア100切りの壁はここにあるのかもしれません。

飛球を決めるのは、クラブヘッドの軌道と、インパクトのフェイスの向きが大きな要素となります。この2つの要素の組み合わせによって、出るスライスのタイプ3つに分かれます。



「①プルスライス」「②スライス」「③プッシュスライス」。いずれもインパクトの時のフェイスの向きが開く(飛球方向に対してオープン)になっていますが、軌道がそれぞれ違います。

①は、アウトサイドイン(飛球方向に対して、外からクラブヘッドが入ってくるタイプ。分類R1
②は、飛球方向に向かって軌道が入ってくるタイプ(インサイドイン) 分類R2
③はクラブヘッドが飛球方向に対して、内側から外に抜けていく軌道(インサイドアウト) 分類R3

スライサーの47.8%の打ち分けとしては、①が全体に対して12.84%、②が26.2%、③が8.04%となっていて、②のタイプが一番多く、次いで①のタイプとなっています。

最近のYoutube等に掲載されているゴルフレッスン動画で、①の傾向の方向けのレッスンが多数見られますが、これはタイプが分かりやすく、改善が見込みやすいことが影響しているのではないかと私は考えています。


あなたのスイングはどのタイプに当てはまりますか?


スライスといっても、それぞれのタイプによって、もちろん練習方法も変わってくることが容易に想像できると思います。


スライスの原因を探る

ゴルフクラブの重心はシャフトの外にある

スライスのタイプについては、前述の通り3つありますが、その中で一番多いタイプが、フェイスが開くタイプです。クラブの軌道による影響もありますが、今回はフェイスが開く原因に迫ってみたいと思います。

フェイスが開く理由はゴルフクラブの特性と、それにつられてしまうスイングにあります。まず、そもそもゴルフクラブ自体がフェイスが開きやすいということです。ゴルフクラブは、シャフトにヘッドがついている構造になっていますが、この構造によって、クラブの重心(じゅうしん)が、シャフトの軸上にありません。

重心とは、モノの重さが釣り合う点のことです。もう少しいうと、物体の重さが作用する点のことを指します。通常地球にいると重力というものが一定に作用していて、それによってモノの重さを感じることになります。

野球のバットやテニスラケットなどは、重心がその器具の軸上にありますので、振った時の重さを感じる感覚と、実際の動きとの誤差が少ないといえると思います。


ゴルフクラブの場合、重心はグリップエンドとヘッドの先端を結んだ架空の線上の中にあります。ゴルフクラブは、ゴルフスイングでは、この重心を軸に回転しようとする力が、手とクラブヘッドに発生します。

これによって私たちのスイングするときの重さの感じ方と実際のゴルフクラブの動きの感覚と大きなズレになっています。そしてこの現象が、スイングの中で、クラブが開いていく原因ともなっていきます。
一度開きすぎてしまったクラブヘッドは、ダウンスイングで、さらに大きな力が加わることによって、インパクトで十分に戻すことができなくなってしまいます。

結果として、フェイスが開いてボールに当たることになり、スライスとなってしまいます。

M-Tracerのスイングデータを分析してもその傾向が見られます。M-Tracerでは、シャフト軸回転という指標がありますが、これは、バックスイング(アドレスからトップになるまで)の間に、シャフト軸の回転がどのくらい回るかを示したものです。


前述の②のタイプ(R2)でフェイスが開く人を分析すると、実に43.5%の方が、バックスイングで、フェイスが開きすぎて、インパクトで戻せないという結果が出ています。
このような方の場合、スライスしないように、ダウンスイングでフェイスを元に戻そうとしてしまい、腕に力が入って、逆にフックになってしまったり、飛距離が落ちてしまったりしてしまいます。


スライスの人はスイングトップでフェイスが開く

当然、人間の骨格の構造上、全くシャフト軸を回転させないようにスイングをすることはできません。このように人間の構造と、ゴルフクラブの特性のバランスを取ってスイングをしていくことが必要になります。


スイングトップまでで決まる

それでは、どうしたらよいでしょうか。

まずはダウンスイング(特にインパクト付近)でフェイスを戻そうと手や腕に力を入れることはやめましょう。ダウンスイング(クラブをおろしてくる過程)でクラブフェイスをコントロールすることはほぼ不可能です。

なぜなら、300gを超える物体がヘッドスピード40m/s(時速でいえば144km/h)という高速で動くとき、腕に加わるチカラは瞬間的に約400N(3920kgf)を超えます。それを一生懸命にコントロールしようとしても小さな腕の筋肉ではコントロールはできないことは想像しやすいと思います。

ですから、ダウンスイングでは、トップから切り返した後は、腕は何もしないという感覚が必要です(ゴルフクラブに仕事をしてもらう)。

そうなると、重要なのは、バックスイング(アドレスからトップまでの間)です。この間に、シャフト軸の回転をなるべく抑え、ゴルフクラブに仕事をしてもらう準備を整えましょう。

具体的には、バックスイングで、クラブヘッドを引きすぎない(インにひかない)ということです。インにひきすぎると、ゴルフクラブは前述の作用によって、クラブが開きやすくなってしまいます。

よく、レッスンで、「アドレスから30㎝は、まっすぐ引くとか、クラブの後ろにペットボトルを置いて、このペットボトルを押す」というようなレッスンがありますが、これは、シャフト軸の回転を抑える効果があるということになります。

練習の方法はいくつもあり、個人の感じ方によってどのレッスンが良いかは特定できませんが、求める目的としては、シャフト軸の回転を抑えるということになります。
目的と現象を理解するだけでも、ゴルフの上達はより効果的になってきます。

皆さんもこんな観点で、ゴルフを分析してみてはいかがでしょうか。

ありがとうございました。

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