センシングによって合理化されスポーツの「する」「ささえる」が進化していく

センシングによって合理化されスポーツの「する」「ささえる」が進化していく

こんな方向けの記事です

  • センシングに興味のある方
  • スポーツテックに興味のある方
  • これまでの歴史を知りたい方

技術革新で生活のシーンが激変するスポーツのシーン

センシングのベースになった業界初のスマートフォンロカティオ

今や使っていない人を探す方が難しいスマートフォン。2007年に発売されたiPhoneは爆発的な人気となり、日本でも社会現象ともなったが、この年を境に、私たちの生活は大きく変化・豊かにしたと一般的な世の中に思われている。

しかし、突然スマートフォンが世の中に出てきたわけでは無い。それよりも10年も前の1998年にiPhoneのような情報端末が発売していた。

「ロカティオ」である。スミソニアン博物館にも世界初の情報端末機器として展示されている同商品は、概念はスマートフォンそのもの。
私たちは、生活の変化・豊かにする一歩を製品で世の中に提案してきた。

そのほかにもPDA(Personal Digital Assistant)と呼ばれる様々な情報端末が発売されてきた。そして私たちがそれらの技術やサービスについて認知し、潜在的なニーズが顕在化し、様々なサービスと融合し約10年以上をかけて、スマートフォン経済圏が発生。

そして現在のような誰でもが活用している市場となった。

センシングについても同じことが言えるのではないかと私は考える。

人間の運動や生体情報のデジタル化はこの10年で劇的に進化してきた。当たり前のように脈拍を計測したり、睡眠の質を計測したりできるようになってきている。

しかし、それはスマートフォンのように生活が大きく変化し、豊かになったかというとそれはまだ違うのではないかと思う。

まだセンシングは、様々な試行錯誤の中で、あるブレイクスルーする時期を待っていて、私は、このセンシング技術が、スポーツ・健康領域で、私たちの生活に大きな変化を与えるのではないかと考えている。


「測る」という意味でのセンシングの始まりは時間

東京オリンピック2020が閉幕して、もう1年が過ぎいろいろありながらも、多くの感動を私たちに見せてくれた大会は、今でも昨日のことのように感じさせてくれた。

スポーツにおいて、世界的に電動計時「測る」が始まったのは、1964年の東京オリンピックからである。当初は手動計時と電動計時とが併用され、両方の記録が公認されていたが、1977年1月からは、国際陸連は電動計時による記録のみを公認するようになった。
最近では、走る・飛ぶ・投げるすべての計時がデジタル化され、瞬間的に結果が世界を駆け巡る。

他のスポーツにおいても、時間はもとより、「スタッツ」と呼ばれるスポーツで選手のプレー内容に関する統計数値は、すべてデジタル化され、皆さんの身近なところにすでに存在してきた。

あらゆる意味で時間は、すべてのスポーツにおいて何らかの関係を持ってきたが、当然そこから求められる時間、距離、速さがスポーツで何らかの指標になっているのは、想像にたやすいし、私たちも理解しやすい。


センシングの技術が「測る」をいろいろ進化させてきた

最近のセンシングには、様々なセンシングがある。センサと呼ばれる「感知器」などを利用して、様々な情報をデジタル化して数値化する技術が発展してきた。

計測して数値化できる情報には、人間の五感に相当するものがセンサとしてはわかりやすく、視覚(光センサ)、聴覚(マイク)、触覚(圧力センサ)が物理的な量をセンシングできるモノとしてあり、臭覚や、味覚センサは科学的なアプローチでセンシングされるものである。

それとは別に、人間が感じることができないもしくは感じることが難しいものもセンサとして存在する。

その代表例が、位置センサ(GPS:私はこれもセンサだと考えている)、そして、姿勢センサ(これがいわゆるモーションセンサ)である。

もともとこれらのセンサは、モノの制御に使われることを目的とされてきた。

しかし、これらのセンサは、昨今の技術革新により、より小型化、省電力化、高・狭ダイナミックレンジ化が進み、それによって人間の状態・スポーツの行動や生体情報をセンシングすることを可能としてきた。

またここにIoTなどの情報通信技術の発展が高度に融合することにより、センシングされた生体情報に様々な意味を付加することが可能になってきている。


人間にもあるが感じることが難しいモーションセンサの感覚

ゴルフクラブの重心はシャフトの外にある、スライスの人はスイングトップでフェイスが開く

モーションセンサは、主に加速度センサと角速度センサと呼ばれる慣性の力を検出するセンサを主に使って成り立っている。

一部地磁気センサなどと一緒に使われることもあり、よくIMUとか、6DoF、9DoFなどという表現をされるケースが多い。人間にもそのセンサに相当する器官が存在する。

一つは、三半規管と呼ばれるもので、これが人間の回転系の動きに対して、センシングを行い、耳石と呼ばれる器官が加速・減速を感知する。

これによって人間は、自分がどんな状態(姿勢)で存在しているのかを知ることができ、筋肉・骨格を利用して制御することで「立つ」とか、「歩く」とかをすることができる。

しかし、この器官を感じることは非常に難しい。 加速・減速(加速度センサ)については、かろうじて、感じることが可能で、それによって、意味を理解しやすいが、回転系の感覚については、感じることはできるが言葉に表せないケースが多いのではないか


スポーツにおけるモーションセンサの可能性

これまであらゆるセンサが「測る」を目的に運動を計測してきた。

先述したが、脈波計測はもはや当たり前の機能として、スマートウォッチやスポーツウォッチに搭載され、GPSもそれなりの価格帯では、搭載が標準的なものになっている。

しかしながら、搭載されている機能から導き出される各種指標は、その値を見てどう使うのか、どう活用するかは、よほどのアスリートでない限り使いこなすことは難しい。

モーションセンサについても同じことが言えそうだ。
人の動き・運動を計測することで何が変わるのだろう。これらのセンサの可能性は、この何が変わるのだろうに答えられたところから大きく進化するのではないだろうか。この問いは、今我々を含めて、世界角国で膨大な人と時間をかけて考えられ続けている。

そしてその答えを持っている人はまだない。だからこそいろいろな可能性を世の中に示し、ユーザがそれをどう理解するのか、どう生活が変わるのかを試しているのだと思う。

私たちは、その問いに向けて、M-Tracerというブランドで挑戦をしていこうと決めた。

そして、私たちの挑戦は、まずスポーツを「する」「ささえる」人たちにどのように支援し、生活を豊かにしていけるかだと考えている。

この問いに皆さんがどう答えてくれるのかを私たちは常に見つめ、世の中を変える糧にしていきたい。

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